志人 / 次元 - 怪譚奇譚「マツゑツタヱ」Temple ATS 2017

f:id:asidsamuraiyahoocojp:20190320140822j:plain


 志人という人は優れた音楽家、MCというところに留まらず、日本の文化の解釈人という印象すら覚える。降神というクルーのメンバーだ。

 リアルタイム世代でないので昔のアヤワスカとかバトルのこととかは他の人に書いてほしい。

 今回紹介する盤は怪譚奇譚「マツゑツタヱ」という志人の作品の中でも一番プリミティブな作品だ。ライヴアルバム。しかも怪談の。

 驚くべきことにテープに落としてSCREWしているので、非常にマクロピッチからあからさまに天と地が逆さになったような気分にさせてくれる。SEもローファイ気味で、実際会場で聴いた感じとは全く違うものにしようという気兼ねが見て取れる。

 村八分や自然の中で感じ取った感覚。様々な模様を、志人らしい神妙でない言うならば音楽の苔を聴いているようなマクロの世界に行ってしまったような雰囲気と例えればいいだろうか。

 志人が暮らしてる半径での怪談という感じであって、実際に体験したことも語られてる。オルガンのようなSEやストーンしそうな(するでしょう笑)次元氏のサウンドは、ソフトマシーンのサードのようなローファイさを兼ね備えていて、また興味深いのはソフトマシーンはジャズロックだけどこの作品は、酩酊感にだけおいて先述したSCREWの手法が使われていてそれがソフトマシーンとは違う差異を感じさせてくれるところだ。

物好きのための作品だが、これが妙に落ち着く。

自分はラジオとか落語が好きなんで、そういう意味においての伝統芸能とウインウインな志人のダークサイドという感じ。聴いて見てください。できれば素面で。